Product History開発ヒストリー

前例がなければ、前例をつくればいい。
可能性がある限り、なんでもやってみる。
チャレンジのルールはシンプルだ。「諦めない」ということだけ。
Possibilian®たちの挑戦を紹介。

Story.01

前例のない機械による
高速蝶結びに挑戦。

2018年(公社)⽇本設計⼯学会
「武藤栄次賞優勝設計賞」受賞
2023年(⼀財)機械振興協会
「機械振興協会会⻑賞」受賞

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世界ブランドの日本酒「獺祭」の
生産ラインを救え!

いまや海外でも大人気の日本酒「獺祭」を生み出す旭酒造様。量産する製造現場では、ラインで全商品の瓶詰め作業が自動化され、そして杜氏の勘ではなく、ITや徹底したデータ管理による酒造りを行っている。
だが、唯一、装飾用の和紙を折る「紙折り」と組紐による「蝶結び」は、人の手によって行われていた。
獺祭の人気急上昇により、需要に供給が追いつかなくなってきた頃、最終工程の自動化は急務となった。そこで、アビリカが相談を受け、前例のない装置開発にアビリカの技術者が立ち上がった。

世界ブランドの日本酒「獺祭」の生産ラインを救え!
人の動きを真似るだけではうまくいかない。

人の動きを真似るだけでは
うまくいかない。

設計にあたったのは、入社以来、自動化設備の設計に関わってきたベテランエンジニアのYだった。人が行っている作業を機械にやらせるためには、ただ真似をするだけではうまくいかない。組紐による蝶結びは手順が多く、形状が変化する柔らかい紐を複雑な動きにより実現しなければならない。Yはその複雑な作業の要素を分解していった。もっとも苦労させられたのはアクチュエーター同士の干渉だと言う。
「一つひとつの機構は既存の技術で実現できるんです。でも要素同士を合わせるとうまくいかないことは多々ある。そこを調整していくところが設計者の腕の見せ所です」

何よりも技術の引き出しが
ものいう世界。

アビリカの設計者の強みは、さまざまな業種の機械設計の経験を積み、自身の中に技術の引き出しをたくさん蓄えているところだ。
Yは蝶結び工程の構想にあたり、10年前に関わった巻線機の機構を思い起こした。対象の素材は異なるが、組紐も柔らかく、伸縮性があることは共通している。
「巻線機の設計経験が大いに役立ちました」
紐と並び装飾用の紙もまた不定形で扱いの難しい素材だった。実際に折った紙を広げて、数値を測定し、図面を起こし、打ち抜き型に使われるピクナル刃で挑戦。狙いは当たり、同じ折りを再現することに成功した。

そして1年後、開発機は完成した。
タクトタイムは、一号機は28秒、二、三号機は19秒。
開発機は、人が行っていた30秒を切り、1日当たりの製造本数も人手約1000本/8Hから3500本/20Hへと増産を可能にした。


①日本国特許第6587427号/名称:紐結び装置および方法
②日本国特許第6735120号/名称:飾紙包装装置および方法

何よりも技術の引き出しがものいう世界。
Challenge!

他社では「実現できない」と断られた
紙折り・蝶結びの技術。
不可能といわれた課題にこそ、
アビリカのエンジニアたちは奮い立つ。
これらの技術は、別のフィールドや
プロジェクトにも活かされている。

Story.02

「結ぶ」技術が生きた、
鉄筋組立自動化システム
「ロボタラス®

※三井住友建設株式会社様のご依頼を受け、当社にてエンジニアリングのお手伝いをさせていただきました。

三井住友建設株式会社様と共同で、
2件の特許を取得済

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新幹線の鉄軌道スラブ製作の現場を支えるロボット。

新幹線の鉄軌道スラブ製作の
現場を支えるロボット。

2018年3月、三井住友建設様より「人間の代わりに、鉄筋の組み立て作業を行うロボットをつくることはできないか」──そんな相談がアビリカに持ち込まれた。新幹線の鉄道レール下に設置する軌道スラブの製作に用いたいという。作業の要となるのは、鉄筋と鉄筋をワイヤで結束する動作。当社は銘酒「獺祭」の蝶結び装置でこの「結ぶ」機能を持ったロボットを手掛けており、その実績を見込んでの打診だった。
「正直、かなりハードルが高いと思いましたね。およそ縦5m、横2m。これだけ大きなものをつくれるロボットは未体験の領域でしたから」と担当のHは当時を振り返る。

新幹線の鉄軌道スラブ製作の現場を支えるロボット。
課題を一つひとつつぶしていく、地道な作業が始まる。

課題を一つひとつつぶしていく、
地道な作業が始まる。

エンジニアNは、まず実際の作業が人の手でどのように行われているかを見学させてもらった。そこから得られた「生きた情報」をもとに検討を重ね、鉄筋を正しく配置する方法や、ロボットアームで結束する方法を模索。
「やり方が見えてくると、次は実証してみたくなる。『アドバイスだけ』のつもりが、気づけば部品を取り寄せて実験機の製作をはじめていました」と苦笑するN。
かくして2019年3月、組み立てられたロボタラス®実験機による機能確認テストを実施。実験機は堅実な動作を見せてテストをクリア。現場投入に向けた実機の開発がスタートすることとなった。
実験機で見えてきた課題を一つひとつつぶしていく、地道な作業が始まった。こうして課題を丹念にクリアしていき、社内各所や協力会社とのネットワークもフル稼働させて、同年12月には実機据え付けの運びとなり、お客様の要望に応えることができた。

課題を一つひとつつぶしていく、地道な作業が始まる。
実績は信頼を生み、信頼は次のチャンスへとつながる。

実績は信頼を生み、
信頼は次のチャンスへと
つながる。

この功績により、ロボタラス®は国土交通省主催の「i-Construction大賞」で国土交通大臣賞を受賞した。
実績は信頼を生み、信頼は次のチャンスをもたらしてくれる。三井住友建設様の次なる工事、中国自動車道の橋梁更新工事でも、ロボタラス®は活躍の場を与えられることになった。
より大きく膨らんだお客様の期待に応えるべく、3Dカメラ搭載の「ロボタラス®Ⅱ」を開発。軌道スラブ以上に巨大で、形状も複雑な橋梁床板の鉄筋組み立てを行う進化型も生み出した。


①日本国特許第7332410号/名称:鉄筋組立システム
②日本国特許第7332411号/名称:鉄筋結束機接続構造及び鉄筋結束ロボット

実績は信頼を生み、信頼は次のチャンスへとつながる。
Challenge!

当社が培ってきた技術と、
メンバーたちの情熱によって
世に送り出されたロボタラス®
少子高齢化社会の建設現場を支える、
まさに未来価値創発の軌跡がそこにあった。